ベルイマン、フィヒテ、ポリツァイ、雪
2.9
友だちに誘われて、久しぶりに新文芸坐。ベルイマン『ファニーとアレクサンデル』、5時間…。絶対間違いなく寝るやろと思ってたら、寝たのは第一部の5分くらいで、その後はずっと食い入るように見てしまった。オカルト家族群像劇。緊張感のあるストーリーと文芸的長舌が面白い。どっかのレビューに、要するに『渡鬼』だという事が書かれていたが、まさにオカルト要素を入れた『渡鬼』である。外は雪。近くの居酒屋で飲み、帰宅。
2.10
Thomas Simon, Gute Policey: Ordnungsleitbilder und Zielvorstellungen politischen handelns in der Frühen Neuzeitを流し読み。フィヒテを読み終えた。閉鎖商業国家をつくるためには、「自然的国境」をもたねばならず、場合によっては現在ある国境を超え、国境が「自然的国境」になるよう、他国を併合する必要があると説かれる。ドイツでは綿花の収穫は難しいが、別の植物を品種改良したりすればなんとかなるはずという、技術革新頼みな部分もあり、おおよそ同時代人も同意しかねたらしいのだが、フィヒテは大真面目なのである。フィヒテ、よく分からん。
2.11
T. Simon, Gute Policeyをようやく通読。18世紀半ばの官房学、主にユスティで話が終わっていて、ナラティブらしきナラティブもないのだが、よくいっぱい調べましたという意味では勉強になった。ブルンナー「「全き家」と旧ヨーロッパの「家政学」」も読み直したり。神学的オイコノミアについてもほんの少し触れられているのに気づく。
カント関係で気になることがあって調べていたら、『永遠平和のために』冒頭の、皮肉はライプニッツに由来する可能性があるということがわかった。オランダの宿屋の看板には、墓地の絵とともに「永遠平和のためにZum ewigen Frieden」と書かれてある、という皮肉である。ライプニッツのCodex juris gentium diplomaticusの序文に同じ話が書いてあった。ケンブリッジ版全集に注がついていたのだけれど、岩波全集には付いていない。いろいろまだまだ知らないことだらけである。